DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期687年10月
    2007-08-31 Fri 13:55
    気が付くと、周りには誰もいなくなっていた。
    俺たちと・・・そして対峙している


    「機動殲滅隊 壱番 - 鬼 -」


    同じ業を背負っているもの同士、何も言葉は必要ない。
    対峙する・・・
    それが全ての「合い言葉」。


    「それでは、殲滅を始めよう」


    レイリアさんが囁くように、が、力強く言葉を放つ。
    そうだ・・・
    これが、機動殲滅隊。



    「白状しよう。君達を斬りたくて斬りたくて、仕方が無かった」

    ・・・そう、あくまでも冷静に・・・そして、威厳に満ちた表情で
    俺たちを見つめて言い放ったのが、眞・・・
    現在の、機動殲滅隊の総帥。

    どことなく、ロジェさんに通じるものがある・・・孤高な人だと感じた。


    「こんにちは… 唐突で申し訳ございまセンが、
     貴方たちの血をいただきマス」

    そう言って柔らかく微笑んだのは、エマという女性。


    「その根性だけは褒めてやろう。 
     ただ・・・主らの相手をしてやれるほど暇ではないのだ」

    俺たちをキッと強く見据える、純という人物。


    「まったく、妙な連中がやって来たもんだ」
    「やなタイミングで来ますね・・・狙われてた?」

    レムリアという人物と、ビーチェという人物は
    如何にも迷惑気な様子で、油断無く構え、こちらを伺っている。


    「 業に誘われし、人斬り、人斬り狩り、黒い兄弟・・・・・

      否、些細な差は私には意味なきこと。 
      相手が誰であろうと、訪れしを滅するが我らの礼。  

      ・・・参る。  」

    影狼という人物は、そう呟くと静かに身構えた。


    「ごめんね。私の正々堂々は全力を尽くすこと。
     弱みに付け込むなんて当たり前なの」

    ニッコリと、相手の言葉に応えるように・・・
    隣にいた柏風が微笑みながら呟いた。


    臨戦・・・そして応戦態勢。
    張りつめるように緊張した空気が、辺りを包み込んでいる。
    どちらかの、誰かが、一歩でも動けば・・・

    それはせき止めていた水が溢れ出すように、動き始めるだろう。




    そして・・・


    そんなしばらくの沈黙を打ち破ったのは、紅輝だった。

    「人智の及ばぬ力を持ち、世の人々が怖れ称した者こそが真の鬼
     ………自称『鬼』など、話にならぬ…

     私も含めてな♪ 」

    その言葉を終えると同時に、召喚した暗鬼“紅姫”と共に、
    サイドから斬り込む。
    そのあまりの素早さに、殲滅隊側だけでなく、こちらも一瞬気を取られる。
    最初の麻痺攻撃こそエマさんに止められたが・・・

    その連続攻撃は止まる事無く、全員を襲撃した。


    「機動殲滅隊…力量も、名声も不足なし。…さぁ、始めましょうか」

    紅輝に続いて、リグが行動を始める。

    さすがに歴戦の猛者である殲滅隊メンバーも、まさか紅輝と同じ方向から
    続いて飛び込んでくる者がいるとは予想していなかったらしく・・・
    図らずもその攻撃は奇襲と同じような効果を生み、
    リグの使い魔・Rot Volkramと「赤き翼を持つ者」は
    一瞬で、全員に攻撃を叩き込んでいた。

    そしてその鋭い攻撃は、油断をつかれた形になった
    レイリアさんと影狼さんを麻痺させ、行動不能に陥れた。


    「でゅえるでゅえる! 」
    「コンチクショー!後ろからつけてきたなー!」

    2人が麻痺したのを確認したコアラとTGが、
    一気に間合いを詰めていく。

    至近距離からのTGのセラフストライクが、殲滅隊のエマさんを捕え
    そして・・・
    コアラの召喚していたハナモゲラが、麻痺して
    動けなくなっていたレイリアさんを攻撃した。

    「無様だね、まったく…!」

    そう呟くと、レイリアさんが崩れ落ちる。
    そのまま振り向きもせず、コアラは渾身の呪文を唱えた。
    それは・・・

    「ディスチェイン!」

    いきなり至近距離で魔法を放たれた為か、
    レムリアさんはまともにその呪文を受けてしまう。
    が・・・
    まともに受けてしまったのには、理由があった。

    レムリアさんの髪の毛が伸び、まだ後方で状況を伺っていた
    柏風の影を、いつの間にか捕えようとしていたのだった。

    ・・・柏風を捕える為に、レムリアさんはあえてコアラの魔法を
    正面から受けたのだ。


    「くそっ・・・!」

    隣で控えていた俺が、柏風を縛り上げるその髪の毛を
    引き裂こうとした瞬間・・・

    「何を勘違いしているんだ。お前の技はまだ発動していないぜ!」

    そう。
    魔法を放った後も、そのまま前線で踏みとどまっていたコアラの声だった。
    あっという間に、レムリアさんの伸びた髪を切り裂く。

    少しダメージを受けたものの、コアラは見事なタイミングで影縛りを断ち、
    すかさず次の攻撃に備えて後方へ戻って来た。

    「柏風、さあ!」

    「・・・ん!」

    体の自由を取り戻した柏風が、再び呪文の詠唱を始める。
    前線ではリグと紅輝が詠唱を邪魔させまいと
    細かい寸断攻撃を繰り返していた。

    「嘗て暁の大地に立つ女あれり」

    柏風の魔法が発動を開始する。
    召喚されたFurfurが、その姿をまるで煌めく刃のように変え
    殲滅隊の中へ飛び込んでいく。

    そして・・・
    その第一刃が、あの人に食い込んだ。

    「この屈辱、乗り越えてみせるさ」


    ・・・総帥、眞。
    彼の体が、ゆっくりと地に近付いていく。
    が。
    柏風の攻撃は止まる事無く続いた。

    「彼の者、己が父を、母を、友を、恋人を、そして自分自身を失いければ」

    柏風の呪文の言葉が繰り返される度に、furfurは煌めきを増す。
    その動きはまるで、葉を散らす風のように。
    風は・・・
    続けて、エマさんの体から戦う力を奪った。

    エマさんの使い魔(ヴラド)が、倒れたエマさんを抱えて戦線を離脱する。

    「万物を許すまじく覚えけれ」

    (・・・かや・・・て?)

    「然れども、黒う染まりし怨嗟の最中、一筋の巧妙来たれり 」


    普段とは違う柏風の綴る言葉に・・・
    隣で控えていた俺は何か・・・いつもの柏風とは違ったものを感じた。

    ・・・これは・・・?
    この、言葉は・・・


    「其は・・・ただ日々に揺蕩う至当の幸なり
     
     そして其れ故に、女をして真得がたき物なりけり 」

    得難き、モノ。

    「・・・それに気づけた。だから私は戦える。」

    その時・・・
    柏風が少し、微笑んだような気がした。
    ・・・そうか。
    柏風・・・君は、やっぱり・・・


    「見てて士皇!ベルカナ!リーザ!もう私は”生きられる”から! 」

    ・・・楓・・・


    煌めく波動は、冷たく周囲を巻き込み。
    何者をも凍り付かせる氷の渦は、前線で動きを封じられていた
    純さんに直撃した。

    「ちぃ・・・情けない」

    そう呟きながら倒れていく純さんの、
    その後方に控えていたのは、あと2人。


    「さあ。どうします?俺を邪魔しますか?それとも・・・」

    柏風の魔法を見届けた後、俺は飛び出した。
    手には、あの「殲滅の鳳凰」・・・

    「・・・攻撃してみるか?」

    自らの気で攻撃に備え、そのまま正面から突っ込んでいく。

    「躱せるものなら、躱してみろ!」

    両手に伝わる、殲滅の力を携えた「鳳凰」の気。
    その気をまとった槍が・・・レムリアさんに向かう。

    「ちっ、戦略的後退だ」

    もとより、殺す気は無い。が・・・
    危険なほどの威力を秘めたこの槍は、レムリアさんを退かせるのに
    十分すぎる程のダメージを与えたらしい。

    そして・・・
    勢いに任せたまま、俺は隣にいた影狼さんに槍を振り下ろした。

    「・・・ふ、敵ながら見事。すまぬが、ここらで往くでござるよ」

    影狼さんの口元から、血が溢れ出し・・・
    そのまま彼は倒れた。

    戦いは・・・終わった。


    「この出会い、この機会。本当に得がたきものだったよ。
     また何処かで・・・ 」

    感慨深げに小さく言葉を漏らした後

    「・・・みんな、無事?」

    柏風が服の埃を払いながら、にこりと微笑み、
    前線から戻って来た皆を見つめる。

    「・・ふぅ、あれでよかったのでしょうか・・?」

    リグがまだ満足していないといった様子で、ゆっくりと戻って来た。

    「何を勘違いしているんだ。俺のバトルなんとかは終了していないぜ! 」

    今回1番の殊勲ともいえる、レムリアさんの影縛りを止めたコアラが
    皆の緊張感をほぐすように冗談を飛ばす。

    「ふむ…少し汗をかいたな 」

    紅輝は、前線で絶え間なく攻撃をしていた様子を
    みじんも感じさせる事の無い余裕の表情で、佇んでいる。
    まるで勝利の余韻に浸るように。

    俺はというと・・・

    情けない事に、張りつめた緊張感が解けたせいか、
    それとも初めて使った、殲滅の鳳凰の力の所縁か・・・

    「くっ・・・」

    力が抜け、崩れそうになる体を必死で支えながら
    何とかその場に立っていた。
    ・・・ダメージは受けていない。
    だが・・・

    まだまだ、この槍を使いこなすには、
    力が不足しているということだろう。

    「・・・絶対に、もう、倒れない・・・
     俺は勝ち続けなければならないのだから・・・!」

    ・・・もっと強くならねば。
    そうしないと・・・
    いつか訪れるであろう、「彼ら」との戦いには生き残れないだろう。

    命を保てる保証は無い。

    ・・・だからこそ、強くならなければならない。


    「・・・?」

    ふと、俺はいつの間にか遠く戦列を離れたTGの姿に気付いた。

    「……あー…うわぁぁぁ」

    怯えるように、声を殺して泣きじゃくるその姿を見て・・・
    俺は慌てて彼の元へと駆け寄った。

    (まだ・・・苦しんでいるんだな)

    とにかく、皆に見られてはTG自身が困るだろう。
    ・・・そう思い、俺は彼に肩を貸すと、立ち上がった。


    (皆、それぞれ・・・
     苦しみを抱えて生きている・・・)

    俺の中の風火は・・・



    まだ、苦しんでいるのだろうか?
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