DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期687年5月・後編
    2007-07-25 Wed 16:03
    「しおーおにーちゃん、相変わらず優しいのね」

    黒猫を抱き締めたまま、マヤちゃんが呟く。
    じっと目を見つめられて・・・少しだけ、心が疼くのに気付いた。

    「その優しさが好き」

    「・・・」

    「その優しさが嫌い」

    俺も・・・
    自分のそういう所がたまに、嫌になってくるよ。
    優しいと思われたい。

    けれど。
    それは自分自身の「偽善」「保身」・・・
    そんな汚い部分の裏返しなのかなって、思う事がある。


    「その優しさを独り占めしたいから・・・」

    ・・・突然続けられた、予想外の言葉。
    驚きを隠せず、狼狽える。

    ・・・彼女はまだ10歳の・・・俺から見ればまだまだ子供だ。
    なのに。
    ふとした瞬間、彼女は大人びた表情で、大人のような言葉を語るのだ。

    「でも、もう、ダメ、なの?」

    「・・・」

    じっと見つめられて、何も言葉が続かなくなった。
    大人のような表情をしたかと思うと・・・
    今、目の前にいる彼女は・・・
    ただの10歳の少女そのものだった。

    「もう・・・、行っちゃうの?   ・・・やだな」

    ・・・彼女から、視線をそらさない事で精一杯だった。
    先ほど痛んだ、胸の疼きを再び感じる。


    ・・・苦手なんだ。


    士凰や留歌が生まれてから気付いた。
    ・・・俺は・・・
    こういう目、こういう表情、こういう言葉・・・
    全てに弱い。

    「・・・」

    抱き締めそうになって思わず伸ばした手を、慌てて引っ込める。
    そして、無理矢理言葉を絞り出した。

    「・・・マヤちゃんは、1人じゃないから」

    黒猫さんも・・・
    人形遣い・・・Dさんも、かぼちゃさんも、いる。
    きっと仲間がマヤちゃんを助けてくれる。

    だから・・・

    「俺は、必要なかったんだよ」

    「・・・」

    黙って俯いているマヤちゃんに、俺は鎧を手渡した。
    それは・・・

    「マヤちゃん、これ・・・本当にありがとう」

    「・・・?」

    「俺は「絆」という大切な気持ちを受け取って・・・
     「ありがとう」の気持ちを再びこの鎧に込めて、
     君に渡していくよ。」

    戦闘前にマヤちゃんたちから受け取っていた、「絆」・・・
    俺はそれをマヤちゃんに返した。
    きっと、これからそれは・・・彼らにとって必要になってくるから。

    「・・・じゃあ、行くよ」

    「・・・」

    後ろ髪を引かれるような思いで、マヤちゃんに別れを告げる。
    そして・・・

    「ありがとうございました。Dさん」

    「・・・」

    Dさんはただ、微笑んでいた。
    敗北したというのに、この人は少しも落ち込んでいる様子を見せない。
    ・・・かぼちゃさんの話によると、Dさんは

    「マヤと同じく、腹の底の読めない人」

    らしいが・・・
    それでも頼もしい人である事に間違いは無い。
    短い間だったが、この人の「業」の深さはそのまま「優しさ」とか、
    「頼もしさ」と比例するのだろうと感じた。

    そういえば・・・戦闘の際に

    「お祭りなどと浮かれている時こそ警戒が必要ですね」

    と呟いていた姿を覚えている。

    ・・・普段は穏やかな人だが・・・戦闘時に見せるこの鋭い感覚は
    やはり「業」を背負った人間独特の感覚なのだろう。

    そして・・・

    「ありがとうございました、かぼちゃさん」

    「おお、沢神殿。行かれるのか?」

    独特な容姿と、独特な口調。
    ・・・まるで心を「道化」で覆い隠したかのような話し方だが・・・
    この人の心もまた、気高く、強い。

    「おぉ、いよいよ祭りの始まりであるか。我の血も騒ぐ。
     沢神殿も存分に楽しむが良い。

     お祭りとはそういうものよ 」

    そういって、戦闘を始めたかぼちゃさんは心の底から
    戦闘を楽しんでいるかのようだった。

    ・・・きっと・・・
    このおおらかな心が、この人の強さなのだろう。
    決して「業」に溺れない、「心の強さ」。




    ・・・俺は別れを惜しみつつ、ハロウィンの皆と別れを告げ
    仲間の元へ向かった。
    俺の事を待ってくれている、大事な人たち。

    今回の「祭」のことで・・・
    これから俺には、再び黒きものたちが接触をしてくるであろう事が
    予想される。だが・・・

    それでも俺は、今回の戦いを後悔してはいなかった。
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