DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期687年4月
    2007-07-17 Tue 10:51
    「おぉ、よくぞ参られた、沢神殿。此処は魔境。
     我のような人外の跋扈する季節外れのハロウィンパーティ。
     
     此処に至っては煩わしい事は無用。存分に楽しまれよ。」


    ・・・そう言って、俺に話しかけて来たのは・・・
    かぼちゃ頭さん。
    とても礼儀正しくて、その不思議な外見とは裏腹に
    落ち着いた雰囲気の人だ。

    隣にいる人形遣いさんも・・・
    突然現れて助太刀したいなどという「DF」を
    有り難い事に、受け入れてくれた様子(に見える)だった。
    ただ、穏やかに佇んでいる。

    ここに至までの経緯は複雑なのだが・・・
    俺はとにかく、この「深い業」を背負っている3人と
    共に戦わせてもらう事になった。



    行動を共にさせてもらう事になった直後・・・
    俺たちは、第三砦で兵士と戦闘をしているPTを発見した。

    すると突然。
    マヤちゃんの連れている黒猫が、一声高く鳴き声を上げた。

    「・・・!?」

    どういう事だろう。
    ・・・マヤちゃんの様子が変わっていく。
    まるで大人のような表情・・・

    と、思ったと同時だった。
    マヤちゃんを筆頭に、人形遣いさん、かぼちゃ頭さんが
    そのPTに斬りかかっていったのだ。

    「・・・っ!」

    ・・・どう見ても、彼らはデュランさんたち人斬りのメンバーではない。
    彼らからは「業」のようなものは、一切感じられなかった。
    だが・・・

    俺はここで戦う、と約束をした。

    デュランさんたちとの「約束」を違えてしまったという罪の意識
    ・・・それが、その思いをいっそう強くしていたせいもある。

    俺も躊躇わず、すぐさまマヤちゃんたちに続いた。

    ・・・相手もこちらに気が付いたらしく、
    素早く態勢を整えている。

    ・・・顔を見合わせた瞬間、相手の1人が驚いたような表情で
    俺とマヤちゃんの顔を確かめるように見つめていた。
    ・・・そして。
    こう言い放った。


    「ロスフラッター沢神様、ならびにデスフラッター宣伝対策本部の皆様。」

    高い声で突き刺さるように言葉を投げかけたのは・・・
    奏るるら、と名乗る魔法使いの女性だった。

    俺たちの事を知っているのは、
    恐らく何処かで確認していたのであろう。
    ・・・仕方ない。
    俺はデスフラッターなのだから。


    「人々に多大なる迷惑と恐怖と絶望と、
     ほんの少しの自己満足を与える茶番劇を日々繰り広げている皆様が、
     監督様の言を借りれば公演の舞台の上でも互いに手と手を取り合い
     仲良しこよしぶりを世にアピールする瞬間を
     
     最高の特等席で鑑賞できることを、かなではとても光栄に思います。」

    続けて、彼女はマヤちゃんに向かう。

    「ええ最初から分かっていましたわ。

     舞台の上では互いに不倶戴天の敵同士を演じる皆様が、
     裏では一緒にパエリア召し上がる仲だということくらい。」

    ・・・違う。

    「本当にパエリアなのかは存じ上げませんが、
     本当は仲良くなければここまで壮大な
     長編戯曲を演じ続けていられませんものねえ
     
     目的あって動いているかなでにとって、
     あなた方は道の前に巨大なパエリア鍋を転がした
     無軌道者にしか見えないの。

     これじゃ前に進めないじゃない。

     邪魔よ、今すぐ撤去してちょうだい。」


    ・・・違う。
    そんな事じゃない・・・!

    俺たちは敵同士。
    わかっている・・・

    そんな事、とっくにわかっている!
    けれど・・・

    違わないわ。

    ・・・何が違うというの


    ・・・違う!!

    自分の立場もわきまえず・・・
    情に流され人を裏切り続け・・・

    そんな最低な人間のあなたに

    何が違うと言い切れるのよ



    ・・・やめてくれ・・・
    俺は・・・
    俺は、ただ・・・

    ・・・1度、死んでみれば?
    ・・・あなたも同じ目に遭いなさいよ


    ・・・俺はただ・・・
    マヤちゃんを・・・

    彼女を放ってはおけなかった、だけ







    ・・・いつの間にか戦闘が始まっていた。
    ここで戦うと誓っていたのに・・・
    俺の体は、思うように動かなかった。

    正面から放たれた、ウォータースプラッシュ。
    いつもなら躱せるはずの魔法を・・・
    俺は身動き1つ出来ず、まともに浴びてしまう。

    そして・・・
    そのまま・・・
    ただ動かぬ体を敵前に晒したまま・・・

    俺は連撃を受けて倒れた。

    黒猫が、冷たく鳴いていた。


    (・・・どうして・・・どうして動かないんだ!!)




    ------------------------------------------

    「あ・・・」

    「しおーおにーちゃん・・・」


    戦闘は、いつの間にか終わっていた。
    横たわっていた体を、慌てて起こす。

    「大丈夫だよ。・・・マヤたちの、勝ち」

    その言葉を聞いて、俺はホッとする。
    意識を取り戻した俺は、その後マヤちゃんたちに手当をしてもらい
    ただひたすら謝っていた。

    ・・・せっかく役に立ちたいと思って、ここへ来たというのに
    これでは全くの役立たずだ。

    しかも、あんな大事な戦闘の最中に、
    ・・・自分で自分を追いつめてしまうとは。
    恥ずかしい。

    ・・・これでは、マヤちゃんや人形遣いさん、かぼちゃ頭さんに
    合わせる顔が無い・・・


    謝罪したあと、ただ黙って俯いていた俺の傍らに
    マヤちゃんと黒猫が何かを届けてくれたのは・・・
    それからしばらくしてからだった。

    「・・・おにーちゃん」

    「・・・?」

    「これ」


    ・・・鎧、だった。

    「これ、は・・・?」

    「おにーちゃんに。マヤとみんなから」

    手に取って、確かめる。
    この穏やかな木の気配・・・
    そして、手触りで鎧の裏側に彫り込まれてあった文字に気付く。


    - 絆 -
    ゆったりとした時間 その刹那
    お祭りの始まりと終わりで何が変わるのだろう
    変わらないはず

    その願い きっと届くはず
    その想い 楽しかった思い出

    楽しかったはずの思い出
    楽しくなくてはならない思い出

    それは離れていても繋がっている

    ボクたちの



    ・・・敵同士。
    わかっている。

    この「お祭り」が終われば・・・

    俺たちは再び憎み合い、いがみ合い・・・斬り合う存在になる。
    そうならなければならない。

    俺たちが共に剣を取り合うのは、これが最後。



    でも・・・
    この気持ちは、永遠に残る。

    一瞬は、永遠に。
    心の中に。






    そして・・・
    俺たちは現実に引き戻される。

    既にいくつもの殺気が、俺たちを取り囲んでいた。
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