DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期686年10月?敗北
    2007-06-03 Sun 23:46
    haibokusiou03.jpg



    (・・・?・・・ここは・・・)

    気が付くと、俺はいつの間にか宿の一室で横たわっていた。
    辺りは既に真っ暗である。
    (・・・夜・・・)

    頭がぼうっとしている。
    が、とにかく起き上がろうとして、体に力を入れた瞬間。
    右の肩側から、左の脇腹に抜けるように激痛が走った。
    他にも右腕。
    左肩。

    痛みは全身に及んだ。
    が、そのうち3?4カ所が、まるで雷に撃たれたかのように
    思わず顔が歪むような痛みを覚えた。

    (・・・あの時、俺は・・・)


    そう。
    あの時、俺たちが第一砦で、feuillantineに戦いを挑む前。

    普段は俺たちの事を小馬鹿にしているような、
    そんな態度でしか接しない・・・妙な新聞記者。
    彼がいつもとは違う様子で、俺の前に現れた。

    「・・・また、来たんですか」

    「あら、つれないわねえ」

    相変わらず、口調はいつも通り・・・だが。
    彼の表情がいつもと違う事に気が付く。

    「・・・いつもと違いますね」

    「あら、わかる?」

    「・・・ええ」

    いつもの饒舌さが無い。
    ・・・ゆっくりと傍らの岩場に腰掛け、記者が口を開く。

    「貴方・・・随分吹っ切れたようね」

    「・・・ええ。仲間や・・・友人に助けられました」

    「そう」

    再び話が途切れる。
    だが、記者は俺の顔から視線を逸らそうとしない。

    「・・・他に、何か?
     それに、どうしたんです?いつも俺たちの事を
     からかいの対象にしかしていないと思っていたあなたが・・・

     やけに真面目ですね」

    「・・・」

    軽い身のこなしで、岩場から降りて彼はこちらへと
    ゆっくり歩み寄る。

    「まだ、わかってないようね」

    「・・・?」

    彼の青い瞳と、北方系の人間独特の、色の薄い金髪が揺らめいた。

    「貴方・・・まだ、風火ちゃんのこと・・・
     不安に思ってるんでしょう?」

    「・・・!?」

    風火?
    どうして、この記者は、風火の事を知っているのか。

    「どうして知ってるんだ、って顔してるわね」

    「・・・あなたは・・・一体?」

    「・・・アストローナで、バカやりあった仲。
     ってことだけ教えておくわ」

    「・・・」

    彼は、さらに近付いて来た。
    いつもの飄々とした様子は無い。
    むしろ・・・

    「早く彼女の「本当の心」に気付く事ね」

    「・・・!!」

    「それに気付かない限り・・・貴方・・・
     生きて愛する奥様の元へなんか、戻れないわよ」




    その先は・・・
    良く覚えていなかった。

    向き合ったfeuillantineのメンバー、エリシエル嬢に狙いを定め
    前へ飛び出そうとした瞬間。
    目の前に紅の閃光が走ったと思うと・・・
    俺のやや前方にいたあの記者が、一瞬で地に倒れ伏していた。

    そして続けて、俺の目の前にも紅の光を感じ
    槍を防御系に構えようとした瞬間・・・

    俺の右肩から左脇腹に向かって、鈍い打撃を感じた。



    それだけだった。
    feuillantineとの戦闘・・・

    俺の記憶はそこまで。



    あの、記者はどうなった?
    みんなは?
    feuillantineとの戦闘は?


    俺は・・・斬られたのか?

    誰も守る事も無く?
    誰を倒す事も無く?


    「し・・・士凰・・・!留歌・・・!!
     そこに、いるのか・・・?」

    「父さん!」

    「お父さん!!」

    俺の目の前に、大切な2人の顔が飛び込んでくる。

    「・・・すまない。また・・・俺は・・・」

    「まだ、起き上がらないで。父さん。
     ・・・そのまま・・・無理しないで」

    「・・・士凰。
     柏風や・・・他のみんなは、どうしたんだ?」

    「・・・っ」


    先ほどまでホッとしていた様子の、士凰と留歌の表情が変わる。
    暗く、重い表情。

    ・・・俺は、その表情で全てを理解した。

    「・・・負けたのか」

    「・・・」

    「結局・・・また、俺は・・・
     誰も守る事が出来なかったんだな・・・」

    「・・・」



    丁寧に巻かれた包帯が動きを制限していたが、無理矢理体を起こす。

    「父さん!いけない!!」

    「・・・みんなの元へ、行ってくる・・・
     そして、謝って来る・・・」

    「他のみんなは大丈夫だから・・・ケガは負っているけど
     みんな同じ宿で休んでる。
     だから、心配しないで・・・今は、父さんもゆっくり休んで・・・」

    「頼む・・・!行かせてくれ!!

     守れなかった・・・
     俺はまた、誰も守れなかった・・・!!」

    「父さん・・・お願いだから。今は、ここで・・・」

    「・・・」


    怒り。
    悲しみ。
    後悔。
    慚愧。
    憎悪。
    復讐心。
    友愛。
    信頼。
    ・・・。
    ・・・。

    言葉に現せと言われても、到底無理な感情。

    混濁する意識の中、俺はただ横たわっていた。
    ただ、己を責め続けていた。
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