DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    中途半端な
    2006-05-15 Mon 17:12
    トライデントとの戦いは終わった。
    バルバシア城内は、相変わらず殺気に満ちている。

    ・・・このままここにいては、恐らく「同業者」と鉢合わせになるだろう。
    そうすれば、連戦続きで疲労している俺たちは不利な状況に追い込まれる事は
    間違いない。

    俺たちは偵察の為、先にPTを離脱していたアゼリアとバルバシア城下で合流し
    次の行き先を話し合うことにした。



    バルバシア城内程ではないが、ぴりぴりとした殺気は街中をも包んでいる。
    相変わらず店は全て閉まっていて、わずかに人の出入りする
    宿屋とその下にある酒場だけは活気が残されているような状態だった。

    その日は曇り空だった。
    城内や街中の殺伐とした空気とは対照的に・・・
    静かで穏やかな灰色の薄い光が差し込む中、
    俺は宿の中庭の階段で座り込んでいた。

    昔から、こうして一人で考え込む事が多かった気がする。
    今でも変わらない。

    ・・・ふと以前、誰かに言われた事を思い出した。

    「そんなに気を張ってばかりいると、疲れてしまうわよ」

    きっとこうして、座っている所を誰かに見られると
    何か難しい考え事でもして、気を張っているように見られるんだろう。
    ・・・とりとめもなく、いろんな事を考えているだけなのだが。

    そういえば最近、お菓子を作っていない。
    風火がいた頃はほとんど毎日作らされていたような気がする・・・


    カサ、という乾いた落ち葉の音で我に返る。
    人の気配だ。
    随分と近くまで接近して来ていたようなのに、全く気が付かなかった。
    ・・・まだまだ修行が足りないようだ。


    「・・・何か御用でしょうか」

    こちらから声をかける。

    若い女性が一人、何か紙のようなものを持って近づいて来た。
    全く見知らぬ女性だが、服装から見るとどうやらここの酒場か、宿屋で
    働いている女性らしい。

    「あの・・・サワガミシオウさん、でしょうか?」

    少し話しにくそうに女性は言葉を続ける。

    「ええ、そうですが」
    「あの・・・今朝、お手紙を貴方宛に預かって来たのですが」

    ・・・手紙。
    彼女はそう言った。

    もしかして、ライカに残して来た、子供たちからだろうか。
    それとも、別の場所で戦っているLiesaから・・・

    「ありがとうございます」

    そう言って、俺は手紙を受け取った。
    そして・・・
    差出人を見て、一瞬心臓が高鳴る。

    「・・・フレイアさん・・・!!」

    フレイア=サースト。
    戦ったばかりの、トライデントのメンバーの一人。
    その、フレイアさんが一体、俺に・・・

    早まる鼓動を抑えようと深呼吸を一つし、手紙を開く。
    そこには、短いがフレイアさんの丁寧な文字が書き連ねてあった。

    要約すると・・・
    「戦う前に謝罪の言葉は出すな。
     それは全力で俺たちに抗おうとする冒険者にとって、
     それは戦士として屈辱以外の何物でもない」

    というものだった。
    そう、俺は確かに戦闘前に謝罪をした。
    戦う前に、フレイアさんと顔見知っていた事もあり、そして今回の襲撃が
    狙っていたPTとは全く違う事になってしまったというミス・・・
    その事が、俺の心を激しく揺らした。

    だから、俺はフレイアさんたちに謝罪した。
    だがそれは・・・ただの自己満足だったのだ。

    フレイアさんが言った「屈辱」・・・
    そう、謝罪という行為は「人斬り」にとって、してはならない事。
    謝罪をするくらいなら、普通の人間は最初から「人を斬ったり」しない。

    俺は「人斬り」を決意した。
    そしてその時点で・・・
    俺は人に憎まれる事を覚悟しなければならなかったのだ。

    誰にも嫌われたくない。

    その気持ちが、俺の心を中途半端にぐらつかせていた。

    「人を助ける、退魔士の業」
    「人に憎まれる、人斬りの業」

    その相反するものが、俺の中でせめぎ合い、
    結果として・・・俺の葛藤を俺自身が納得させる為に伝えた
    フレイアさんたちへの謝罪が・・・
    彼らにとっての「屈辱」という、許されないものに変わっていたのだ。

    (俺は何て中途半端な人間なんだ・・・)

    手紙を読み終え、俺は恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。
    どう、返事を。
    気持ちを伝えたらいいのだろう。

    ただ一つ言える事は・・・

    俺がこれから人斬りを続けていく為には、
    この中途半端な気持ちに踏ん切りをつけなければならない・・・
    という事だ。




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