DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期684年4月
    2006-11-07 Tue 00:22
    遂に俺たちは、アストローナ大陸を離れ
    イブラシル大陸へと渡って来た。

    ・・・ここから先は、完全な敵地だ。
    何が起こってもおかしい場所ではない。

    遠く離れて、再びアストローナの地へ
    傭兵や、様々な生業の者たちを乗せに戻る
    古ぼけた船を見つめながら、俺たちは港を後にした。



    港から少し離れた場所にあるリーブルフォートの街には、
    既にリグが先行して偵察を行いながら
    俺たちを待っていた。

    合流するまでの事を、ぽつりぽつりと話したりしながら
    リーブルフォートの宿でしばしの休息を取る。

    だが、休息も束の間、次の日には早々に身支度を整え
    俺たちは街の北部にある大森林へと出発することにした。

    この大森林は東西南北に広がっているが、
    リーブルフォートから行けるのは、この森林の南部。
    まずはこの森林を抜けなければならない。

    ・・・急ぐ旅でもなかったのだが、それぞれに目的を抱えた
    メンバーが集まった旅。
    それぞれの目的の為にも、行動は早い方が良いのだ。


    それに・・・この森林にはアストローナには存在しない
    「バルバシア直属の敵」が現れる。
    Liesaの為にも、俺は早くぬいぐるみの情報を入手したかった。
    バルバシアの王直属の僧侶たちならば、何か知っているかもしれない。

    ・・・そんな事を考えながら森林に足を踏み入れた瞬間。
    敵は襲撃して来た。

    (さすがに簡単に、バルバシアの深部には
     通してくれそうも無いな)

    急いで隊列を取り、攻防の体勢に入る。

    「さぁおいで、フォルクラム。存分に彼の肉を啄むがいい!」
    「Furfurって寒くなってくると、呼ぶ時にびりっとくるんだよねぇ
     ・・・うーやだやだ」

    リグは朱色の鴉を。柏風さんは「Furfur」という使い魔を
    それぞれ召喚する。

    戦いは、リグの先制攻撃から幕を開けた。

    「おやおや、隙だらけですね・・」

    敵の列から踏み出していたシュリーカーに、
    攻撃がまともにヒットする。
    不意を喰らったシュリーカーはそのまま
    リグの連続攻撃を浴びた。

    「ははは、本気で相手して下さらないと・・
     止まらなくなってしまいますよ?ねぇ!」

    そしてその隙を逃さず、コアラさんが前線にいた俺に
    魔法を放つ。
    ・・・ブローディア・・・
    花が淡い光を放ち、俺の体を包み込んだ。

    「士皇さん、お守りを受け取れっ!」

    ・・・どうやらこの花の淡い光が、俺の体を
    包んでいる間は、敵からの攻撃をある程度吸収して
    ダメージを減らしてくれるらしい。

    (ありがとう、コアラさん!)

    すかさず飛び出そうとしたその時だった。

    リグから先制攻撃を受けたシュリーカーが、
    突然怪音波を発した。

    「・・・っ!?」

    何とも言えない、不快な音。
    例えようのない嫌な音に、コアラ、TG、柏風さん、リグは
    思わず耳を塞ぐ。
    幸い射程から飛び出していた前線の俺と、紅輝さんだけが
    その怪音波に怯む事無く抜け出す事が出来た。

    そして、いつもの通り、敵陣に突入し
    俺はローパーを。
    紅輝さんはマイコニドをそれぞれ捕え、
    連続攻撃を加えた時だった。

    横にいたウェアウルフが咆哮するやいなや、
    紅輝さんに向かって突撃したのだ。

    「くっ・・・」

    咆哮をまともに受け、倒れる紅輝さん。
    そして、一瞬紅輝さんの方に気を取られた俺は・・・
    捕えたローパーの反撃をまともに受けてしまった。

    パラライズテンタクル。

    「うあっ・・・」

    戦闘での一瞬の油断は命取りになる。
    例え身体が麻痺しようとも、周囲の行動には
    油断無く気を配らなければならなかった。

    ・・・が・・・。

    麻痺した俺は、この麻痺を解こうとして足掻いていた。
    そして・・・
    周囲への注意を怠った瞬間だったのだ。
    それは起こった。

    「・・・!」

    マイコニドの毒胞子を、俺はまともに浴びてしまった。
    みるみるうちに体から力が失われて行く感覚がわかる。

    何とかしなければ・・・と思っているうちに
    奮戦する柏風さんの傍らで、紅輝さんが左手を押さえて
    うずくまっている様子が目に入った。

    (紅輝さん・・・!左手が・・・まさか!)

    恐らく折れているのであろう。
    麻痺も取れていないようだ。
    TGやリグが、その間必死で攻撃を叩き込んでいるが・・・
    遂に魔物たちは、麻痺した俺や紅輝さんを
    集中攻撃して来た。

    モールドと、シュリーカー。
    俺は麻痺したまま、成す術もなく攻撃を受け続けた。
    ローパーも柏風さんやリグの攻撃を躱しながら
    紅輝さんを執拗に狙っている。

    ・・・が。

    戦況を変えたのは、リグの攻撃だった。

    「あはははははははは!」

    宙を舞い、ローパーにとどめを刺す。
    そしてとどめを刺した後も、リグは執拗に攻撃を繰り返す。
    血にまみれた彼の爪が・・・その執拗さを物語る。

    その時だった。
    ・・・俺の中で、何かが蠢くのを感じた。

    (・・・?何だ、これは・・・)

    ふらふらと立ち上がる。
    毒がまだ残っているらしく、目眩を感じる。
    ・・・が、何故か俺の体は、何者かに操られているかのように
    前に進み始めた。

    シュリーカーやモールドが、攻撃を繰り返しているのがわかる。
    しかし俺は、ただぼうっと前に進んで行った。

    麻痺が解けた紅輝さんの、「面倒じゃ」という声がする。
    リグも必殺技であるマイティタロンを繰り出して
    ウェアウルフに致命傷を与えている。

    俺は・・・
    毒に冒されたまま、モールドの前にいた。

    「朧月」

    ぼそっと呟くと、モールドの体を拳で貫いた。
    ・・・いつもならここまでやらない。
    とどめを刺すまで攻撃はせず、ただ、
    致命傷を与える前に攻撃をやめて、逃がす。

    が、この時の俺は・・・

    「倒れているんだな」

    そう言いつつ、次に出た言葉は

    「逃れようとしても・・・もう遅い」

    頭の中で誰かが、それはおかしいと叫ぶ。
    俺はこのまま敵を逃がす。

    いや・・・ 逃 が さ な い 。

    「・・・散逝花」

    血煙が花のように、俺の眼前を染める。

    「弱い相手をいたぶる趣味はないんでね・・・」

    既に死に絶えているモールドの体に、
    狂ったように攻撃を繰り返す。

    いつの間にかウェアウルフが咆哮し、俺は再び麻痺していた。
    マイコニドの連続攻撃を受けているが
    そんな事は一向に気にならなかった。

    柏風さんが飛び出し、ウェアウルフにとどめを刺した。

    (・・・)

    そんな様子をぼうっとしたまま、見つめていると・・・
    俺はまたいつの間にかシュリーカーからの攻撃を受けていた。

    「・・・」

    その時だった。
    体が、突然熱くなった。
    毒も麻痺も消え失せたかのような、熱い感覚。

    俺は・・・またしても拳でマイコニドの体を貫いていた。

    一瞬で急所を貫かれ、即死したマイコニド。
    が・・・
    やはり俺は攻撃を繰り返す。

    ・・・頭の片隅で、もう一人の俺が呟いた。

    (俺は、なにを、している・・・?)

    朦朧とした意識に、さらに飲み込まれそうになった瞬間。
    銃声が響いた。

    「む?良く分からん武器じゃ・・・なっ!?」

    ・・・紅輝さんが、銃を発射していた。
    どうやら偶然だったらしいが・・・
    その偶然が幸いした。

    先ほどまでのおかしな感覚が・・・
    俺の中から消え失せたのである。

    さあ、攻撃に参加しなければ・・・と戦列に戻りかけるが
    それはもはや必要なくなっていた。

    リグが全てを終わらせていた。

    そして・・・その後すぐに、別の敵が襲撃して来たが
    俺にあのおかしな感覚は戻る事は無く。



    ・・・拳速が増したせいで、敵に一撃で致命傷を与えた・・・
    その時は、そう思っていた・・・いや、思おうとしていた。

    ・・・だが・・・



    いや。
    考えるのはよそう。
    俺は何も変わってはいない。

    これからも変わるはずがない。





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