DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    忌まわしい過去
    2006-05-07 Sun 23:57
    Roze・・・

    貴方が何者で、何故風火を殺したのが俺だという事を知っていたのかは知らない。
    が、俺はもう隠し立てはしない。
    隠そうとは思わない。
    全てを話そう。
    20年前。
    俺の妹・風火は旅の仲間であった、とある僧侶に恋をした。
    ・・・16歳まで家族以外の人間を知らなかった妹が、
    初めて抱いた「恋」という感情。
    そして、その対象となった男は・・・かつての俺の親友だった。

    当然、俺はその恋に反対するはずは無かった。

    だが・・・
    その僧侶の正体は、ヴァンパイア・・・妖魔だった。

    そして、妹はある日その事を知る。

    俺はその男の正体を知っていた。
    ・・・知っていた上で、あえて反対しなかった。

    何故なら、俺は妖魔であるはずのその男を信頼していたからだ。


    が・・・
    段々2人の間に、暗い雰囲気が漂い始める。
    そして、その事件は起こった。

    赤い月の夜だった。
    男は俺の前にふらりと現れた。
    そして、こう言った。

    「風火を、もらう」

    ・・・俺にはその時、何の意味があって、
    そう彼が俺に伝えたのかわからなかった。
    が・・・
    その言葉の意味はその夜、妹を見て、わかることになる。


    妹の首には・・・
    2つの小さな傷が出来ていた。

    ヴァンパイアに恋した者の首についた、2つの傷・・・

    それは・・・
    退魔士としての道を捨てた証でもあった。

    が、そんな俺の不安を他所に・・・妹は全く後悔している様子はなかった。

    昔から、まっすぐで、一途で、人を疑う事を知らない・・・
    素直な性格だった。
    そしてそんな妹を見て、俺は治療をためらった。
    まだ人間に戻る事は出来る。だが猶予はない。

    「これで私も、一緒だよ!」

    深刻な状況とは裏腹に、そんな無邪気な事を言う、
    彼女の姿を見ていたら・・・



    どうしたらいいのかわからない・・・時だけが空しく過ぎた。
    もはや一刻を争う事態は差し迫っていた。

    だがその時。
    「親友」は意を決したように俺の前に現れた。
    いつもへらへらとした調子で話すのがこの男の
    「人間」としての姿だったが・・・
    その時の彼の様子は明らかに違っていた。

    ・・・妖魔として。


    「俺はこの旅が終わったら、アストローナを去る。
     だが、去る前に俺と戦え。
     ただし・・・俺は妖魔として。お前たちは兄妹2人でだ」

    そして、この戦いを制した者が・・・自分の望みを叶えられる事にする。
    俺たちはそう誓約をして、別れた。


    俺の望みは、妹の幸せ。

    妹の望みは、彼と生涯を共にする事。

    そして、彼の望みは・・・


    が、その日は永遠に訪れる事は無かった。



    突然、風火は・・・戦闘中に意識を失った、と・・・聞いた。
    そして・・・
    息絶えたモンスター(妖魔)たちの血を舐め始めたと。

    人斬りに襲撃された時も、自らの体から血が流れ出る様子を見て
    「人の血など流れ出てしまえばいい」
    と、呟いていたという。

    ・・・当然、普段の風火からも、次第にその明るさが消え失せていった。
    原因は信じられない事だった。


    あの男・・・
    俺の唯一の親友であった、あの男が、
    俺たちの前から姿を消してしまったのだ。

    妹は絶望していた。
    そしてそんな状況の中、薄れゆく自我で、必死に考えた末に出した答えが



    「自分が人間だった為に、彼の気持ちを理解してあげる事が出来なかった」
    「だから・・・嫌われた」




    ・・・俺は間違っていたのだろうか。
    ただ、親友と、妹が幸せになって欲しかっただけだ。
    見守って行くつもりだった。
    妹が妖魔と化していく・・・それを止められなかった。
    止められる訳が無い。

    ・・・心のどこかで・・・
    親友はもう一度、風火の前に現れて
    今度こそ風火の手を取り、共にこの地を去るだろうと・・・

    そう信じていたからだ。
    信じたかった。
    妹の想いを信じてやりたかった。


    だが・・・
    妖魔と化していく妹は、そのうちに自分が一番大切にしていた
    「人を想う心」
    までも失っていった・・・妖魔の体と引き換えに。


    微かに残った「人の心」で、風火は俺に言った。


    「私の、人を愛する気持ち・・・消えてしまったらそれは私じゃない。
     だからどうか、そうなったら私を殺して」




    ・・・妹の幸せを願ったその結末。
    その結末は・・・



     「死」だった。



    そして、親友との永遠の別れ。

    俺は20年前に・・・
    大切な人を2人も失った。


    これは俺の「罪」


    永遠に心から消える事は無い。
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