DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    接触
    2006-09-29 Fri 12:19
    士凰が、遂にあの男と対峙してしまった。


    ・・・絶対に会ってはならないと思っていた、あの男。
    そう。

    「仮面の男」・・・Roze。
    「父さん。俺は今日、仮面の男と出会った」
    「・・・!?何だって!?」
    「これまでに存在は知っていたが・・・直接対峙したのは、初めてだった」

    そう言って、士凰は白いローブをベッドに放り投げ、静かに椅子に座った。
    その表情はいつもと変わらない。

    「・・・何を言われたんだ」

    心配する俺の方を見つめ返すと、飄々と彼はこう答えた。

    「ああ、計画は順調だと言っていた。
     それからローズティーをいれてもらったよ。父さんには劣るが、まあ美味しかった」
    「・・・それだけか?」
    「他に・・・
     ああ、留歌はこの計画に参加予定はないそうだ。
     それから・・・俺の弱みと強みがどう、とか言っていたな」
    「・・・」

    腕と足をそれぞれ組み、背もたれに体を預け、
    悠然とした様子で報告をする士凰。

    その姿を見て、俺は良い意味であきれてしまった。

    随分成長したとは思っていたが、一緒に旅をするようになってますます変わった。
    ・・・大人になった、と思う。

    あの、仮面の男-Rozeは恐らく彼にも、残酷な言葉を浴びせたのだと思う。
    だが・・・
    俺の予想以上に士凰はタフ・・・
    悪い言い方をすれば「図太い」。

    恐らく、Rozeもやりにくい相手だろう。
    しかしそれでも、油断してはならない。
    俺は士凰に釘を刺す。

    「士凰・・・だが油断はするな。
     あの男の真の恐ろしさは、一度や二度、会っただけではわかりはしない」
    「・・・」

    ふっと、それまで悠然としていた士凰の顔色が真剣味を帯びた。

    「父さん・・・
     油断はしない・・・いや、させてくれなかった」
    「何?」
    「・・・正直・・・底が知れない気を感じた」
    「やはり・・・他に何か言われたんだな」

    彼の、父親そっくりのアメジスト色の瞳に、冷たい光が宿っている。

    「「貴様も俺から風火を奪うというなら・・・貴様の全てを奪ってやる・・・」
     そう。あの男は、確かにそう囁いた。俺の耳元で」


    ・・・風火。
    俺の・・・たった一人の妹。

    そう。
    20年前・・・妖魔と化した妹の風火に、とどめを刺したのは
    ・・・俺。

    やはりRozeは、風火を奪った俺を憎んでいる。
    その憎しみは変わってはいなかった。
    いや・・・やはり、以前よりも増している。

    「風火、というのは・・・父さんの妹のことだな」
    「・・・」

    士凰が、ゆっくりと口を開いた。

    「俺には経験が足りない。・・・父さんと、風火さん。
     そしてあの仮面の男のそれぞれの心情は、どんなに想像しても
     今の俺では決して理解出来ない感情だろうと思う。

     だが・・・
     俺が思った事はただ一つ。

     父さんと、あの男は・・・そっくりだよ」
    「・・・」
    「繊細で・・・脆くて・・・
     触れると消えてしまいそうに、儚い。

     そして・・・
     愛情が深すぎるんだ。

     父さんも・・・
     そして、あの男も・・・」


    腕を組み、憮然とした表情のまま、士凰が続けた。

    「父さん。
     とにかく、父さんは気を付けてくれ。
     戦闘面ではまだ俺は父さんの足下にも及ばないが・・・
     精神面で支える事は出来る」
    「・・・士凰。
     参ったな、子供のお前にまで心配されるなんて」

    ゆっくりと士凰は立ち上がり、俺の正面に立ち塞がった。
    ・・・いつの間にか、身長は追い越されていた。
    士凰が俺を見下ろす形で、俺の目をじっと見つめる。

    「・・・?」
    「父さん、実は・・・」

    士凰が口ごもる。

    「どうしたんだ?」
    「・・・」

    子供の頃から、ものを隠して話す事が苦手で
    マイペースに自分の感情をぶつける士凰が何故か・・・黙り込んでしまった。

    「・・・」
    「・・・何でもない。
     ただ・・・父さんは自分の事だけを今は考えて欲しい」


    そう。
    俺はまだ気が付いていなかったのだ。

    士凰が言った、その言葉の「真の意味」に。




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