DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    退魔師として
    2006-09-25 Mon 13:51
    俺はいつもの通り修行を終え、拠点に使っている
    「Red Plume」内の宿に戻って来た。

    すると、そこには深刻な顔をした息子の士凰が俯いたまま座っていた。

    「どうしたんだ、士凰。そんな顔をして」
    「・・・」

    返事は無い。
    ただ・・・
    士凰の様子から、ただならぬ出来事が起きた、ということが読み取れた。


    「父さん。・・・「如月昴」という女性の件は、どうなったんです?」

    士凰がゆっくりと立ち上がり、こちらを見つめる。
    俺はすぐさま答える。

    「依頼は引き受けたよ。・・・どうした、気になるのか?」
    「・・・」

    じっとこちらを見つめる士凰の瞳には、何故か
    普段の彼とは違う光が宿っている。

    「士凰・・・」
    「父さん。・・・その依頼、断った方が良い」

    士凰が近付いてくる。
    いつもの彼ではない。
    それは・・・

    「息子」の顔ではなく、一人の「人間」としての顔。
    真剣に退魔師としての道を歩み始めた・・・「男」の顔だった。

    「私が彼女と会った時に。
     彼女から・・・何か不気味な気配を感じた。
     未熟な俺ですらわかる、あの禍々しい気配・・・
     絶対におかしい」

    俺はそれを制し、答える。

    「士凰・・・それがわかれば、お前の能力もかなりのものだよ。

     あの気配は、通常の人間では気配すら掴めない。
     ・・・深く・・・その憑いた本体の魂に、巣食っているからね」

    「本体?」

    「ああ。彼女自身はただの・・・普通の人間だよ。
     そしてお前が感じた不気味な気配。
     ・・・それこそが、彼女に巣食う「妖魔」。
     
     ・・・九尾の「骸」さ」

    それを話した瞬間・・・一瞬だけ、士凰の表情が曇る。

    「まさか、その「骸」を退魔するのが今回の依頼だと?」
    「ああ。そのまさかだよ」

    士凰が突然、声を荒げた。

    「父さん・・・!その依頼が、どんなに無茶な依頼か・・・
     わかっていて引き受けたのか!?」
    「・・・」

    肩に掴み掛かり、激しく俺を揺さぶる。

    「父さん!貴方は今、自分自身が危険な状況に追い込まれているはず!
     あの・・・怪しげな、「仮面の男」によって!」
    「・・・!!」

    激しい感情が伝わってくる。
    怒りとも・・・
    悲しみとも受け取れる、激情。

    「知っていたのか・・・」
    「・・・」

    続けて、士凰が絞り出すように言葉を続けた。

    「Red Plumeで過ごすようになってから・・・
     父さんの様子はおかしい。
     そして、昴と言う少女・・・仮面の男・・・

     俺には、その動き出した何もかもに、
     何か、大きな陰謀のようなものを感じてならないんだ」

    「・・・」

    「父さんはただでさえ、母さんの為に
     「形見のぬいぐるみ」を探す事で、神経を尖らせているはず。
     だから、俺は・・・」

    俯いた士凰は、キッと顔を上げて、こう言った。




    「この依頼を、父さんに代わって・・・
     俺が受ける事にした」

    「・・・!?何だって?」

    驚く俺の様子を他所に、士凰は続ける。

    「父さん・・・
     父さんは、今は、自分自身の戦いにきっちり
     蹴りをつけなければならない時だ。

     だからこそ、今回の依頼は受けてはいけない。
     
     だが、それではあの「昴」という少女を助けられない。
     父さんは悔やむ事になるだろう。

     だったら・・・」

    「士凰」

    「俺が引き受けるしかない。
     そうだろう?・・・父さん」

    「無理だ・・・!まだ退魔師として、修行も足りないお前では・・・
     あの強大な「骸」は倒せない!
     
     最悪、昴さんだけでなく・・・お前まで死ぬ事になる!」


    士凰は俺の言葉を聞き、自信に満ちた笑みを浮かべた。

    ・・・その表情に、俺は・・・
    遠き故郷に住み、今でも退魔師として大陸を駆け抜けているであろう・・・
    父・沢神士狼の姿を重ねた。


    「・・・」
    「考えておいてくれ。父さん。
     ・・・俺は・・・本気だ」

    そう、言い残すと・・・
    士凰は軽やかにローブを翻し、父と良く似た、
    淡いゴールドブラウンの長い髪を揺らし・・・表へ出ていった。




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