DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    3期後日談(2)
    2011-05-17 Tue 00:36

    「今日は誰と待ち合わせてるの?」

    紫草の故郷に着いてからというものの…
    しばらくは挨拶まわりなどで忙しそうに、
    やや緊張した面持ちが続いていた紫草だったが…

    今日は久しぶりに、楽しげな様子で
    足早に待ち合わせの場所へ向かっている。

    (よほど、仲の良い人と待ち合わせてるのかな)

    「前に…ちょっとだけ、話したことあったよね?」

    「ん?…えっと………」

    「あ、見えてきた」




    「紫草ちゃん、こっちこっちー」

    紫草が待ち合わせをしていた場所とは…
    蕎麦の店だった。

    (へえ………珍しいな。蕎麦の店だなんて)

    お昼の食事時を少し過ぎていたせいか、
    店内は思ったほど混んでいなかった。

    声の方を見ると…
    奥のテーブルに、銀髪を尼そぎにした和服の女性が座っている。

    「姐さん…ごめんね、待たせちゃった?」

    紫草が慌てて、その女性のテーブルを挟んだ正面に近付く。

    「ううん、さっき来てお品書き見てたところ」

    そう微笑む女性は、たおやかな手つきで
    品書きを俺たちに手渡した。

    「積もる話はあるけれど…まずは、注文しちゃいましょ」


    知的で上品そうな女性だが、どうも、一癖ありそうな…
    というのが、俺の彼女への第一印象だった。

    そして、注文を終えたと同時に、彼女は催促するように
    視線を俺たちに送り…

    「さて、と…」

    紫草は焦った様子で、俺と彼女を交互に見つめた。

    「あ、えぇと……どっちから紹介しよう?」

    (フフッ…困ってる困ってる)

    困っている紫草は、とても可愛らしい。
    このまましばらく見ておきたいな、と思ったけれど…
    この場でそれもあんまりかな、と思い、先に口を開いた。

    「どちらでも良いけど…俺から自己紹介しようか?」

    すぐに、紫草の表情にホッとしたような色が浮かぶ。
    が、その直後。

    「順番なんてどっちでも良いってば…
     はじめまして、白鷺です。
     紫草ちゃんの愛人やってまーす」


    正面に座っている「彼女」の方から
    自己紹介されてしまった。

    「白鷺」………
    以前、紫草から聞いた女性の名だ。

    (そうか、彼女だったのか…)

    それにしても、婚約者を目の前にして
    「愛人」だなんて…
    俺は笑いを堪え切れず、噴き出してしまった。

    楽しげに両手の平をヒラヒラさせ、笑っている彼女を見て
    紫草は慌てて言葉を遮る。

    「ちょっ、姐さん…何言ってるのっ」

    すると………

    「えぇー、そんな…
     紫草ちゃんのために還俗までしたのに、否定っ!?
     酷い、酷すぎるわっ」


    よよ………と、泣き崩れる(フリをする)白鷺嬢。

    「……姐さん…
     もしかして、その為にわざわざ普通の着物を着てきたの…?」


    紫草が恐る恐る聞いてみると、
    彼女は悪戯っぽく微笑みながら問い返した。

    「それ以外に理由ある?」


    へえ………



    そうか。



    白鷺嬢というのは……こういう人なんだ。






    「うん…姐さんなら、無いかな…」

    クスクスと、再び笑いが込み上がる。
    苦笑いを浮かべつつ、紫草がこちらに視線を向けた。

    「ごめんね、士凰…驚いた?白鷺姐さん、こういう人なの」

    大丈夫。
    そんなに驚いてはいないよ?

    「悪かったわねぇ、こういう人で。
     …で、そちらの彼が…」


    俺はニッコリと笑顔で、白鷺嬢の視線を受け止めた。

    「沢神・Elios・士凰です。はじめまして」

    「……………」

    その後、どのくらいだろう。

    俺と白鷺嬢は、しばらくの間、テーブルを挟んで
    静かに見つめ合っていた。

    同じ、「紫色」の瞳。

    そして、何よりも………




    「…えぇと………」

    紫草が沈黙に耐え兼ねたかのように、言葉を発した。

    「うふふ…士凰君とは、仲良くなれそうな気がするなー」

    「フフ…俺もそんな気がしますよ、白鷺さん」

    それは、紫草が言葉を発したのと同時だった。
    俺と、白鷺嬢は、ほぼ同時に微笑み合っていた。

    (これが、いわゆる………
     言葉がなくても言葉がわかる、ってヤツ…かな?)

    「似た者同士」。

    何故だか、その言葉が俺の頭に浮かんでいた。







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