DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    3期691年2月
    2011-03-06 Sun 14:55

    神竜「ファーヴニル」との戦いの後、
    傷が治るまで街で静養していた俺たちだったが
    その傷もやがて治り…
    連日の戦いと、冷たい風で衰弱していた体もすっかり癒され
    遂に俺たちは、この大陸を後にする事にした。

    今まで行ったことがなかった地を、巡り…
    そして………




    「行こう、って言いながら………
     すっかり遅くなってしまっていたね。紫草。
     まさか季節が終わる頃になるとは思わなかった…」

    苦笑しながら、傍らに並んで歩く紫草に視線を向ける。

    街の景色からはすっかり雪は消え、街路地には小さく
    草の芽が顔を出し始めていた。

    「もう、春なのかな?」

    「…まだまだ寒いけど、ね。
     でも、俺には紫草がくれたマフラーがあるし?」

    そう言って微笑むと、自分の体を暖めている
    柔らかな薄紫色のマフラーに手をやる。

    バレンタインの日に、紫草がくれた手編みのマフラー。
    1年前はセーターだったっけ。

    「そうそう、トリュフチョコと、ココアシフォンケーキ。
     あれもすごく美味しかったよ。
     ごちそうさまでした」

    「え!?…士凰、いつの間に食べちゃったの?」

    「もらった次の日には、全部…」

    「………」

    はぁ、と呆れたように溜め息をついて
    紫草がこちらを見ている。
    クスクスと吹き出すように笑い、彼女を見つめた。

    「俺の甘党は、父親譲りだから、ね?」

    「………!」

    紫草がぽん、と納得したように手のひらを打つ。

    「そういえば………そうだったよね」

    「そうそう。最近甘いものを食べてなかったし…
     留歌も旅に出たまま戻らないから、あの食べっぷりも
     間近にしてなかったし………
     すっかり忘れてたんじゃない?」

    2人で顔を見合わせ、クスクスと笑う。

    そういえば………留歌は元気にしているだろうか?
    そして、父や母は………

    そんな事を気にしつつ、しばらくそのまま
    他愛もない会話を楽しみながら路地を歩いていると…
    小さな看板が目に映る。

    「着いたよ」

    「え?………ここ?」

    「そう…さ、入って入って」

    少し躊躇っている様子の紫草の背中を押し、
    一緒に店の中に入った。

    「いらっしゃいませー」

    「う………わぁ………!」

    店の中に入り、目の前に並ぶ商品をみた瞬間
    紫草の表情が、ぱぁっと輝いたように見えた。

    「こっ………これ!」

    「そう。キミと一緒に選びたかったんだ」

    「………」

    室内に、所狭しと並ぶ民族衣装とドレスの数々。

    「紫草は、やっぱり白無垢がいいのかな?って
     思ってね………」

    「士凰………」

    「キミのお父さんや、寺の兄弟子さんたちの所へ
     挨拶に行くんだったら…
     もう、準備していた方がいいじゃない?」

    「………ここ………
     いろいろ、あるんだね」


    「ああ。世界中の衣装がここにあるらしい。
     当然、ウェディングドレスも………白無垢も、ね」



    長いようで、短かった旅が、終わろうとしている。

    俺たちはここで「旅の最後の買い物」をし…
    2人で一緒に、ライカへ…紫草と俺の故郷へ戻る。

    (紫草………)

    キラキラと瞳を輝かせながら、衣装を選ぶ彼女の姿を見つめ
    俺はただ、幸福感に包まれていた。

    これから先は、彼女の笑顔が傍らにあればいい。

    ずっと………

    長い長い時を、共に過ごせればいい。










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