DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    3期690年6/7月
    2011-01-24 Mon 00:41

    しばらく忙しくあちこち出歩いていた。

    が…クリスマスも近くなったし、俺はバレないように
    紫草にプレゼントを用意すると宿へ戻った。

    ニザヴェリール野の街道脇にある、小さな宿屋。

    「ただいま、紫草…」

    そこに、待っているはずの人の姿は無かった。
    不思議に思い、テーブルの方に歩み寄ると…
    1枚の置き手紙。

    『近くにある洋菓子屋さんへ、お手伝いに行ってます』

    「………?お手伝い………?」



    夕暮れ時。
    しんしんと降り続く雪の中を、歩く。

    …いつの間にか雪は街中を覆い、
    寒さのせいか、歩く人々もまばらになっていた。

    正面に、小さなお店の明かりが見えてきた。
    身体に付いた雪を払い、扉を開ける。

    「すみません、今日はもう終わりなんです…
     全部売り切れちゃって」


    店長らしき男性が、申し訳無さそうに俺に声をかけた。

    「いや、俺は…」

    「…士凰?」

    「………紫草!」

    奥から現れた紫草。
    その、姿は………

    「あぁ、紫草ちゃん…
     お迎えが来たみたいだし、終わって良いよ」


    「え、でもまだ売り上げが…」

    「あとは家内と2人でできるから。…クリスマスに悪かったね。
     彼氏もお待ちかねみたいだし、早く帰ってあげなよ」


    「……すみません、じゃあ、お言葉に甘えて。
     …士凰、着替えてくるからもうちょっと待っててね」


    「………」

    「…士凰?」

    俺の目の前で、紫草の手のひらがヒラヒラと動く。
    しまった…
    まさか、俺が動揺するだなんて。

    「え?…あぁ、ごめん…ちょっと驚いて。
     似合ってるよ、その格好」

    「…え?…あ、えっと…うん、ありがとう…
     ここの奥さんが用意してくれたんだ」


    それは、サンタクロース風の衣装だった。

    「着替えるのが勿体無いくらいだ」

    「本音」を素直に声に出す。
    ………こういう時に、下手に嘘をついてはもったいない。

    「あはは…そのまま着て帰るかい?紫草ちゃん」

    店長、GJ。
    俺は心でそう、賞讃の言葉を投げ掛けた。

    「え」

    「バイト代、少ないからね…なんだったら、その服もあげるよ。
     どうせ帰るだけでしょ?
     そのままで良ければ、待たせなくてすむじゃない」


    「え、や、でも…」

    そうそう。
    そのまま帰ろうか?紫草。

    「いいじゃない、紫草ちゃん…
     はい、荷物持ってきてあげたわよ」


    奥から奥さんが出てきて、紫草に
    着ていた着物を包んだ風呂敷を手渡してくれる。

    素晴らしい夫婦のチームプレイ、ってヤツだね。

    そして、アルバイト料だというケーキを持って、
    俺たちは店を出た。

    紫草はその服のまま帰る事を気にしていたようだけど
    俺は有無を言わさず微笑んでみせた。
    「当然、そのままだよね?」
    そう、無言の主張をしながら。

    「…じゃあ、これで帰ります…
     ケーキと服、ありがとうございました」





    …可愛らしい、サンタクロース姿。

    雪の白に映える赤が、街の光を浴びながら
    きらきらと輝いて見えた。













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