DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    3期687年7月
    2010-04-13 Tue 10:22
    紫草と一緒に、黄眼の塔へ来てしばらくが過ぎた。

    塔で戦闘をひとしきり繰り返した後、退却して街道の宿へ戻る。
    そんな繰り返しの毎日だったが・・・
    俺は何故だか、以前なら理解出来なかっただろう、
    不思議な「感覚」を感じるようになっていた。


    「ケガは、どう?・・・体調は?」


    宿に戻って、イスに腰掛けくつろいでいる紫草に声をかける。
    大丈夫、という声と微笑みで、安心して隣に座る。


    ・・・いつの間にか、宿に泊まる時は
    当たり前のように、一緒の部屋を取るようになっていた。
    眠る時も・・・


    「・・・」


    紫草が、小さなあくびをかみ殺す。


    ・・・彼女は、夜更かしに弱い。
    一緒に眠るようになって、気付いた事の1つ。


    (本当に、可愛いんだから・・・)


    そんな、彼女の姿を見つめながら・・・
    俺は昼間の約束を思いだした。


    「そういえば・・・」


    「?」


    「紫草・・・もうちょっとだけ、話を聞ける?」


    「・・・うん?」



    街道では言えなかった事。


    「俺は・・・人斬りをしようとしていた。
     それは・・・知っているよね?」


    「・・・」


    「もう、やめようと思ってる」



    その言葉を聞き、驚いたように、一瞬見開かれる紫草の瞳。
    俺は、話を続けた。


    「・・・父さんが何故、苦しみながら人斬りをしていたのか・・・
     それを知りたくて、俺も人斬りを目指していた。
     けれど・・・」


    紫草の、暖かな頬に指先を伸ばす。
    彼女の優しげな菖蒲色の瞳を見つめながら、俺は笑ってみせた。


    「・・・俺の事を、弱いと・・・キミは軽蔑するかも知れないね。

     そして・・・目的を途中で諦めるような男を・・・
     キミは嫌いになるかも知れない。


     けれど・・・俺はそれを全部、承知の上で・・・
     本当の気持ちを伝えたい」



    紫草を引き寄せ、抱き締める。


    「俺は、キミと・・・
     このままずっと、一緒に旅をしたい、って・・・
     今は、そう、思ってる。
     けれど、俺は人斬りになろうとしていた人間。

     ・・・俺と一緒に居る事で、キミを危険に巻き込んでしまう事を恐れて
     ずっと、そのことを言い出せずにいた」


    「・・・・・・」


    「けれど、こうしてキミと一緒にいればいるほど・・・

     ・・・両親や、仲間・・・失って、ぽっかり空いていた心が
     満たされていくのを感じた。
     そして・・・誰よりも、キミの事を大切に感じるようになった」



    離れたくない。
    もう、二度と・・・

    それが、俺の本当の心。



    俺は、紫草を抱きしめたまま、ただ黙って彼女の言葉を待っていた。








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