DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    3期684年12月
    2009-08-04 Tue 23:05
    ヘステイア高地を越え、次に向かった所は・・・
    エクリム山道。

    高原の乾いた風はますます強く、上着がなくては
    行軍もままならないほどの寒冷な気候に戸惑う。

    雪こそ降らないが、険しい山脈が連なる茶色い山肌の道を
    ただ・・・歩く。


    ロザリアが伏せ目がちに、漏らした言葉が気になった。


    「誰からも愛される・・・ね。

     もし仮にそうだったとしても、一番愛して欲しい人たちは
     もうこの世にはいないのよ・・・」



    その言葉を聞いた瞬間・・・
    俺の心の中が、ちくりと小さな痛みを感じた。

    父・士皇。
    そして、母・Liesa・・・

    常に俺と留歌を見守り、愛し、育ててくれた2人。
    その2人は・・・

    もう、いない。


    もしかして、彼女も俺と同じような「想い」を
    胸の中に秘めていたのだろうか。

    だとしたら・・・・・・・



    「ヴァリエ」は、相変わらずの明るい口調で話かけてくる。


    「言っとくけど、アタシのニックネーム命名権は
     無料(タ ダ)じゃないからね?
     あとで何がしか代価をいただきに伺うから

     そのつもりで……くすすっ。」



    ニックネーム・・・
    確か、「付けて欲しい」というような話で聞いていたんだが・・・

    今更の「代価」の請求に、少し驚いたが
    そういうところも彼女らしい・・・と思う。

    さて、どう返事しようか?



    ニナも相変わらずだ。


    「拒絶ー?されないと思うから心配しなくて良いー。
     でもされたらニナのところに来ると良いー。
     何でもするから遠慮なく言いつけると良いー(ぐっ)」



    年の割に、大人びた発言をする・・・が、やはり幼くて。
    けれど、俺と紫草の事を気遣ってくれる彼女は・・・
    そこらにいる、つまらない愛だ恋だと騒いでいる女達に比べれば
    数十倍・・・いや、比べ物にならないくらい魅力的で。

    きっと、ニナがこのまま成長すれば
    放っておく男はいないだろう、と思った。



    そんな中・・・
    俺はアンドリューに返答を迫られた。

    面白くない、といった表情を露骨に表し、俺に近付き・・・
    そして、声を荒げて問いかける。


    「保留…ねぇ
     個人の意志と、隊の意志…お前はどちらが望みだい?

    「敬意で返す?それがお前の敬意と言うのか?」

    「恥も外聞もかなぐり捨て、隊を抜ける程に恋い焦がれ、
     性の禁忌をも越えて告げた私の想いに……」



    禁忌・・・
    そうか。

    ・・・そうだったのか。

    アンドリューは、俺が気付かないうちに・・・

    俺に・・・?




    それからしばらく・・・
    エクリム山道でのモンスターとの戦いは悲惨なものだった。

    プレスターの毒牙で毒に冒され、動きが取りにくくなった所を
    エキンムのイルブレスで行動を制限された上、
    さらに息を整えている所をグレマルキンに狙われ、吸血された。


    「・・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

    意識が朦朧とし始める中、エキンムの攻撃は続き
    俺は右手をも折られる。

    イヤな、鈍い衝撃が響く。


    「・・・・・・・・・・ぐぅ・・・っ!!」

    反撃したものの、動きの取りにくい
    毒に冒された体では・・・思うように反撃は出来ないばかりか、
    それは、さらなる隙を作るだけだった。


    「ぐぁぁっ・・・!」

    グレマルキンの攻撃を躱す事が出来ず、今度は足を折られた。
    みるまに、腫れ上がっていくその部分。

    脈打つ鼓動とともに、堪え難い痛みが襲ってくる。
    地面に這いつくばっていると、口の中に広がる
    ・・・土の味と血の味。

    だが、同じ前衛で戦っていたレクサスとレミーナも、
    麻痺や毒・・・石化の魔法で苦戦していた。

    今、俺が離脱するわけにはいかない。

    ・・・激痛に耐え、立ち上がった瞬間だった。


    (・・・!!)

    エキンムの、呪われし叫び・・・
    「テラー」が俺の脳裏に、響いた。


    「う・・・あぁっ・・・・・!!!」


    大切な人々が、俺の目の前で、真っ赤な鮮血に染まる。
    それは余りに、リアルな、幻。

    母が・・・
    父が・・・

    そして・・・


    「ゆ・・・紫草・・・・・・・・っ!!」




    ・・・俺は、戦闘前・・・

    紫草に告白した。

    座り込んで、呆然としている彼女を引き寄せ・・・
    そのまま抱き締める。

    そして・・・
    意外なほどに細い腕や、狭い肩幅に驚く。

    背も高いし、男として育ったと聞いていたが・・・
    自分の中の先入観が、壊れた瞬間だった。


    (柔らかい・・・)


    伝わる暖かさがもっと欲しくて、さらに強く抱き締める。
    ・・・紫草の指先が、しがみつくように肩に触れる。

    その時だった。
    俺の耳に・・・待ち望んでいた言葉が、
    ハッキリと聞こえた。


    「うん………一緒に、生きよう…。
     ………私も…士凰が、好きだよ……

     他の誰でもない、誰の代わりでもない…

     士凰が。Eliosが…好き…。」




    (・・・・・・・・・・・・)


    体を預けるように、すがる紫草の体を抱き締めながら・・・
    俺は暖かなぬくもりを感じていた。
    体に・・・
    そして、心の中に。


    紫草・・・
    キミの言葉は、暖かくて・・・甘くて・・・
    鈴の音のように、軽やかで・・・

    狂おしいほど、愛しく響く。


    俺は・・・何と答えればいい?


    「士凰・・・」



    甘い、紫草の声が遠ざかる。
    そして・・・

    俺の目の前で、彼女の体が崩れ落ちていく。



    「・・・許さ・・・ない・・・・・・っ!!」


    それだけは。
    絶対に・・・許さない。


    「その刃は、雲間に隠された月が姿を現すが如く。
     沢神流奥義・・・「朧月」


    「恐怖の幻想」を打ち破り、俺はエキンムに斬りかかった。

    俺が、今「最も恐れる現実」・・・
    例え「幻」であろうとも、そんな事は絶対に

    させない。


    紫草を・・・
    俺から奪うものは、許さない。


    「殺す気はないが、手を抜いたつもりもない・・・
     そのまま寝ているんだな」


    息を整えながら、血に染まるモンスターを見下ろし
    ・・・改めて、誓った。


    俺は強くなる。


    そして・・・その為になら、どんな戦いにでも
    生き残ってみせる。と。





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