DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
    スポンサーサイト
    -------- -- --:--
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    別窓 | スポンサー広告
    3期684年9月
    2009-07-14 Tue 22:46
    山道を越え、バーリー要塞を越え・・・
    俺たちはヴェーラス大湿地帯へ到着した。

    息苦しさを感じた高山地帯を何とか乗り切り、調子はいい。
    ここには植物が・・・草や樹木の、生命に溢れている。
    普段は忘れてしまいそうな自分の体質を、改めて自覚した。



    湿地帯は地盤が柔らかく、野営の設備には不向きだ。
    これからしばらくなのか・・・
    それとも、長くここにいる事になるのかはわからない。

    相談した結果、2つのPTに分かれて宿を取ったり
    湿地帯の後方で、山沿いの地点に野営の陣を張る事になった。


    「ふう・・・」


    宿に泊まる事になったPTメンバーと共に、
    束の間の自由な時間を満喫する。

    何日振りかのお湯を浴びて、体がすぅっとスッキリする。
    部屋に備えてあるベッドに腰を下ろした。
    夕暮れの光が窓から差し込み、きらきらと眩しい。

    ふと、ここ数日の事を思い起こす。


    「死んじゃった人の、名前…それは、確かに重そうだな。
     でも、名前のほんの一部でも受け継いで生きてくれる人がいるなら、
     その人は幸せなんじゃないかなぁ…?
     それと、エリオス自身も…」



    そう言った彼が、一瞬目を伏せたあと・・・
    珍しく、険しい目つきを見せた。


    「…その人の分まで、幸せに生きないと…ダメだぞ。 」


    ツクジは、優しい。
    話せば話す程、こんなに優しい人間が、戦いに参加していいのかと
    ・・・本気で心配になる時がある。

    幸せに生きないとダメだ。
    そう言われた瞬間、俺は何故か、父・士皇の・・・
    あの、照れくさそうな微笑みを思い出していた。

    「………そんなに着てみたいなら、着てみるか?
     まだ洗ったばっかの着替えなら持ってる。サイズは問題ないだろうし」



    蒼之狼が、そう言ってくれたのは・・・和服の事だ。

    以前から、俺は蒼之狼や紫草の服が気になっていた。
    俺の父は東方の生まれではあったが、そこからさらに北の、
    国境付近に住んでいたせいもあり・・・
    彼らが着ているような服とは無縁だった、と聞いていた。

    だから、当然ライカで生まれ育った俺が
    和服を着た事がある訳もなく。

    ・・・良いきっかけだから、蒼之狼にお願いして
    和服を借りてみようか・・・と思った。

    似合うか似合わないかは別として。




    そして・・・
    俺は、紫草に思いを伝えた。


    男として育てられた、と言っていたし・・・
    それに普段話している様子から、多分彼女は驚くし・・・
    困惑するだろうという事は、承知していた。



    まだ、こんな事・・・伝えるべきでは、無かったのかも知れない。



    けれど・・・


    俺が伸ばした手に、彼女が暖かな頬を寄せた。
    そして、引き寄せた俺から逃げるどころか、
    「嫌じゃない」と、小さな声で囁いた紫草を見た瞬間・・・



    俺は、どうしようもない衝動に襲われた。


    思いきり、強く抱き締めて・・・
    けれど、そんな俺の衝動を止めたのは・・・

    紫草の過去。

    きっと、こんな事には慣れていないはず。
    いや・・・
    むしろ嫌悪感すら抱くかも知れない。


    いけない、と思って身を離した。




    ・・・彼女はどう思ったのだろうか・・・


    けれど・・・


    俺は気付いてしまった。
    そして、もう隠す必要も、悩む必要も無いと思った。


    ・・・悩んで苦しむのは・・・主義じゃない。



    そう思った瞬間、今まで自分が寿命や人と違うからと悩んでいた事が
    バカらしく思えてきた。


    ・・・俺が生きているその間、どれだけの時間だろうが構わない。
    一日でも・・・千年でも。

    紫草が俺の事を拒絶しようが、するまいが・・・
    俺が紫草を想う気持ちは変わらないのだから。

    俺は、自分が大切だと思った人と、共に生きていたい。
    そう思った。
    だからこそ、自分の正直な気持ちを隠す事はやめた。



    そして、その事を・・・後悔はしない、と思った。





    スポンサーサイト
    別窓 | 日常(士凰)
    | 思いと言葉 |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。