DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期693年6月
    2008-12-23 Tue 00:09
    (・・・・・・・・・・・・・・)


    兄貴・・・

    ねえ・・・


    しっかりして・・・?



    (・・・・・・・・・・・・・・)



    ほら・・・どうしたの?
    いつも、「強くなる」って言ってるじゃない

    立てないなんて・・・おかしいよ?



    (・・・ふ、うか・・・?)


    大丈夫
    もう、終わったから

    もう兄貴は「純白の子宮」なんかじゃ、ないんだよ


    さあ、もう、目を覚まして



    (・・・)


    ・・・目を覚ますと、そこは静寂の暗闇。

    何も、見えない。
    一歩でも動けば、まるでそのまま足を踏み外し、
    奈落の底にでも落ちてしまいそうな・・・

    アルヴィスの森で戦っていたはずなのに・・・

    森の木々・・・いや、足下に生えているはずであろう
    草一本の影すら見えない。


    (まだ・・・俺は、目が覚めていないのか・・・?)

    (違うよ)

    (・・・!・・・風火・・・)


    背後から聞こえたその声に、俺は振り返る。
    凛とした、良く通る・・・聞き慣れて「いた」高い声。

    (兄貴・・・ありがと、ね)

    (風火・・・お前、どうして・・・?)

    声と同じ。
    強い光をたたえた、俺と同じ紫水晶(アメジスト)の瞳を向け
    ふわり、と微笑んだ。

    それは、妖魔になる以前の・・・
    昔のままの、懐かしい・・・妹の。

    風火の姿。


    (兄貴の体・・・ごめんね、黙って借りちゃった
     でも、これが最初で・・・最後だから)


    (・・・お前・・・本当の・・・風火、なんだな・・・?)

    (・・・うん)

    (どうして・・・?)

    少し、俯いた彼女の瞳に、悲しそうな色が宿る。


    (・・・兄貴は・・・
     私の為に、たくさん、苦しんで来た)


    (・・・そんな事は、ない)

    (ううん・・・わかってるよ。
     
     私が、妖魔になった時・・・
     暴走した私に、とどめを刺した時・・・

     そして、あれから20年が過ぎても
     まだ、兄貴は苦しんでた)


    (・・・)

    風火の瞳が、近付く。


    (私の・・・「幻影」を、自分の中に生み出す程に)

    (・・・)


    頬に、指が触れた。
    冷たくも、熱くもない。

    ・・・ただ、感覚だけが・・・緩く頬をつたう。


    (・・・けじめを、付けたかったんだ)

    (・・・けじめ・・・?)

    (そう
     ・・・兄貴の中の「幻影」を、完全に消す為に
     私は

     私の力で

     デスフラッター「純白の子宮」を名乗りたかった
     そして・・・
     「幻影のアタシ」から・・・兄貴を、解放したかった


     今度こそ  

     本当に

     ・・・・・・・・・・・・完全に)


    (風火・・・っ!!)


    彼女の気配が薄らぐ。
    頬に残る感触は、まだ消えていない・・・
    けれど


    (これで、本当に   おしまい

     黒い兄弟と戦ったことで
     兄貴の中に残っていた「純白の子宮」
     「本当のアタシ」に受け継がれた

     もう、兄貴はデスフラッターじゃないよ

     


     だから消える

     今度こそ




     もう 苦しまなくていい

     私は・・・いくね。
     幻影と、共に・・・・・・・・・・・・・・・・・・)



    「風火ーーーーっ!!」



    ・・・次の瞬間、俺の目に映ったものは「彼女」の姿ではなく
    アルヴィスの、揺れる森の木々・・・

    「風火・・・お前は・・・!!」

    いつの間にか、涙が頬をつたっていた。
    そして・・・頬に残った彼女の感覚を消していった。
    本当にこれで・・・


    「さよなら・・・風火」


    ふと・・・
    奇襲を受け、傷だらけになっていた体に気付く。
    この痛みは、もう・・・誰のものでもない。

    自分自身のものだった。


    「・・・そういえば、ヴォルフさんは・・・?」


    ふと、周りを見渡すと・・・
    一緒に戦っていたはずの彼の姿が、ない。


    (・・・・・・・・・・)


    既にその場を立ち去っていたのか。
    どういう事かはわからなかったが・・・

    恐らく、またいつか・・・ふらりと目の前に現れて、
    あの不敵な笑顔を向けるのだろう。


    ふと、すっかり暗くなり、星が瞬き始めた空を見上げる。


    斬られた怒りも・・・
    悔しさも・・・

    不思議と、湧いては来ない。


    何故なら・・・



    この世界から、本当に消えてしまう、その瞬間・・・
    彼女は微笑んでいたから。

    心の底から・・・昔のままの、笑顔で。




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