DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期690年8月
    2008-04-28 Mon 23:13
    仲間たちと別れた直後・・・

    再びここに戻ってくる、と誓ってはいるものの
    離れる前にどうしても会っておきたい人が2人、いた。


    アンドランダムの・・・リノさん。



    そして・・・




    「・・・柏風。
     突然呼び出してしまって・・・ごめん」


    きっと、この時の俺の表情は・・・
    何とも情けない表情をしていたに違いない。

    緊張していた・・・のだと思う。
    それから・・・
    嬉しさと・・・

    何といって例えれば良いのかわからないが・・・
    表現するとしたら、恐らく・・・

    「後ろめたさ」・・・のような、もの。




    「俺はしばらく・・・ここを離れる。
     だが、どうしてもこれだけは伝えておきたい事があって
     君をここへ呼び出した。

     本当に・・・すまないけれど・・・
     聞いて欲しいんだ」

    「・・・」


    柏風は、ただ黙って俯いていた。


    「俺にとっては、柏風も・・・楓も・・・
     「大切な人」であることに変わりはない。
     
     だが・・・」

    「・・・」

    「・・・いつ頃からか・・・

     今まで、俺にとっての「特別」は
     家族だけだった。

     Liesaと・・・士凰と・・・留歌」


    段々と消え入りそうになってくる
    自分の声に気付き、必死で語気を強める。

    伝えなければならない。


    ・・・これだけは。


    「けれど・・・そんな「特別の存在」とは、
     また違うところに・・・
     君「たち」がいる事に・・・

     いつの頃からか、俺は気付いた」


    幾度も止まりそうになる言葉を、紡ぎ出す。

    「・・・遅すぎたのかもしれない。いや・・・
     気付こうとしていなかった。
     気付くのが、怖くて・・・
     俺は自分の心から目を逸らしていただけ・・・」


    柏風はただ、黙って聞いていた。

    夜風に吹かれながら・・・
    その肩が、少しだけ小さく震えたように感じた。


    「君は・・・君たちは、俺の魂に・・・
     いつの間にか寄り添ってくれていたんだね。

     ・・・ありがとう」

    「・・・」

    「そして・・・今まで、気付かなくて・・・
     気付いた事を隠していて・・・ごめん。

     俺は・・・俺、は・・・




     かやて、を・・・」



    ・・・それ以上



    言えなかった。

    ・・・言えるはずが、無い。


    けれど、唇は・・・
    きっと、その「言葉」を形作っていたのだと思う。

    これは、俺の・・・
    心に生まれた「真実」の言葉。

    その時だった。


    「・・・もういいの。何も言わなくていいよ。
     士皇が負い目に感じることなんて何もないんだから。 」


    その言葉を聞くと同時に・・・
    俺の体は、ぬくもりに包まれていた。

    頬に彼女のひんやりとした肩が触れ・・・
    俺は咄嗟に、不安定な彼女の体を支えようと腕を回した。

    ・・・抱き締められ・・・
    自分が彼女の細い体を抱き締めている事に気付くのに、
    しばらくの時間を要した。

    そして・・・

    俺の唇に、彼女の唇が触れるように重なり・・・
    彼女の瞳と、目が合った。


    「・・・ほらね?私は士皇を家族だって思ってる。
     だからこんなことも平気。

     ・・・私はね、士皇がどう見てくれるかなんて
     どうでもいい。
     大切だって言ってくれるだけで・・・

     それだけで十分なの。 」

    「・・・かや、て・・・っ」

    「それにね私の方こそ、現実が目の前にあったのに
     認めてしまうことが怖かっただけ。

     自分の弱さから目を背け続けて・・・
     士皇にこんな表情(かお)をさせちゃった」


    ・・・その時。
    俺は自分がどういう表情をしていたのか、わからない。

    ただ、わかっていたのは・・・

    きっと、また、彼女を苦しめて、
    悲しませるような顔をしていた自分がいたということ・・・



    士皇と柏風





    「士皇は何も悪くなんてない」

    ・・・いや。
    1番悪いのは・・・他の誰でもない。


    「自分が傷ついたって正しいことを選んでしまう人だから。
     私はそういうところを好きになったんだから」

    ・・・俺は。
    きっと、柏風のことも・・・
    Liesaのことも、裏切ってしまった。

    ・・・俺は・・・


    「だからね・・・お願い。
     士皇はずっと、ずっと笑っていて欲しい」


    柏風の声が、小さく震えていた。

    「柏風・・・」


    柏風の体を離し、立たせると・・・
    俺は自分の上着を脱いで、柏風にかけた。

    「・・・しばらくの間、留守するよ。
     ケガや、病気に・・・

     気を付けて」


    そのまま柏風に背を向け、歩き出す。



    想いを振り払うように・・・断ち切るように。

    これ以上、彼女の傍にいてはならない。
    一方的に想いを伝えるだけ伝えて、逃げて・・・


    「・・・最低だな・・・俺は」


    けれど、これ以上彼女を見つめていたら・・・
    もしかしたら、俺は・・・











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