DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    癒えない記憶 -散逝花(2)
    2008-02-01 Fri 09:47
    目が覚めると、すでにあたりは真っ暗闇になっていた。

    (しまった・・・どのくらい、眠っていたんだろう)


    ゆっくりと体を起こし、暗闇に慣れた目でランプに灯をつけようと
    荷物に手を伸ばす。

    「・・・!?」


    その時。
    俺は扉の向こうの、何者かの気配に気が付いた。

    (誰か・・・いる!)



    妖魔の気配ではない。
    確かにこの宿場の周りには、妖魔の気配がないわけではなかった。
    が、少なくとも港の街中よりは・・・
    人気の少ないこの宿場一帯の街道の方が、妖魔はいない。

    が・・・

    その扉の向こうの「気」は、確かに「殺気」を放っていた。

    (・・・まさか・・・)


    灯りをつけるのをやめ、荷物の中から護身用の短剣を取り出すと
    息を潜めて扉の前へ移動した。
    耳を澄ます。

    (ぎゃあああ!)
    (助けて・・・誰か!)


    ・・・その悲鳴は、1階から聞こえてくる。
    激しい物音、衝撃。

    扉の前の殺気が無くなるのを待ち、廊下へ出る。
    周囲に気を配りながら、1階の様子を伺った。
    そして・・・
    見たのである。

    「・・・へっへっへ、たんまり持ってるじゃねえか」

    「こんな寂れた街道の宿場でも、この辺にはこの店しかねえからな。
     絶対に金はあると踏んでたんだ」

    「さすが、ボス。いい読みしてますぜ」


    酒場の中央で座り込み、金勘定をしている男たちの周り。
    床中に飛散する、血液。
    ・・・暗闇のランプの光を、淡く照り返しながら
    浮かび上がる・・・
    「血の海」。

    (な・・・!)


    ニヤニヤと嫌らしい笑顔で口元を歪めながら、机に腰掛け・・・
    ぴくりとも動かなくなった旅人の男を無造作に踏みつけ。
    返り血にまみれた靴を気にする様子もなく、金をひたすら数える男。

    だらりと机の足にもたれかかり、息絶えた兵士の懐を探り
    金目のものを奪おうとしている者。
    まだ息のある客を押さえつけ、背中から剣を突き立てとどめを刺す者。

    (・・・っ!!)


    ・・・騒々しいくらいに、昼間は活気に満ち溢れていた「宿場」。
    今は、死の匂いしか感じられない・・・

    「死と静寂の空間」。

    それはほとんど「全滅」といっていい状態だった。

    この店に入った時に、店内で楽しげに飲んでいた兵士や旅人たち。
    不意を突かれたのか、ほとんどが背中や首・・・
    無防備になった所を狙われ、刺されていた。
    抵抗した者も何人かいたのか・・・
    そういう者は抵抗した時に受けたのであろう、
    腕や顔に何カ所、何十カ所と切り傷が刻まれている。

    酒と・・・血と・・・臓物と・・・
    何とも言えない異臭が辺りを覆い・・・

    初めて目の当たりにする「人の死」に、俺は恐怖した。

    「あ・・・ああ・・・!!」


    震える指先。唇。
    腰から下に全く力が入らず、立とうと思う気力さえ湧いてこない。

    (どうすればいい・・・どうすれば・・・!)


    その時。
    俺の耳に、女性の悲鳴が聞こえた。

    「い、いやああ!」

    「やめて!!」


    何人かの女性が、野盗の男たちに髪の毛を掴まれ中央に引き摺られて来ていた。

    「こんなに隠れていやしたぜ」


    3人程の女性が、あっという間に男たちに囲まれる。
    と、その瞬間・・・
    血でべとべとに汚れた女性たちの衣服が斬り裂かれた。

    「きゃああああ!」

    「騒ぐな!殺されてえか!!」

    「おとなしくしやがれ!」


    そして、怯える彼女たちを無視したまま、男たちがのしかかっていく。

    (な・・・何をしているんだ・・・?)

    「おい・・・てめえ・・・!」

    「!?」


    ・・・完全に、気配を逃していた自分の未熟さを恥じ・・・
    そしてこの時の事を後に、何度も、後悔した。

    「・・・あっ・・・!!」

    「なんだぁ?・・・その声、男かよ!」

    髪の毛を掴まれ、力任せに立たされる。
    ・・・恐怖のあまり、震える指先から持っていた短刀が
    滑り落ちていたが・・・拾う意志は、もはや失かった。

    「・・・」

    「・・・へえ・・・まっ、構わねえか」

    「・・・?」

    ぐいっと俺の顎を持ち上げ、酒臭い息を吐きながら
    その野盗の男はじっと俺の顔を覗き込む。
    ・・・160cmほどしかない俺に対し、男は180はあろうかという長身。
    体格も、比べ物にならないほど違っている。
    腕に至っては、俺の倍はあろうかというほどの太さだった。

    「ボスは、綺麗な顔なら誰でも構わねえ人だしな・・・」

    髭面で、泥のように黒く、がさついた肌のその男は
    ニヤリと歪んだ表情で笑みをこぼすと・・・

    「来いっ」

    俺の襟首を掴み、軽々と抱えるように1階へと引きずり降ろした。

    「・・・なんだぁ?そいつは」

    「2階にまだ隠れていやがりましたぜ」


    そのまま「ボス」と呼ばれていた・・・
    30代くらいの男の前に放り出される。
    俺を連れて来た男よりも、さらに頭1つ大きく・・・
    他の者に比べて、油断と隙のない表情。が・・・
    その下品な表情は、他の者たちと全く変わりがない。

    「・・・ほう・・・」


    ニヤリ、と同じような薄い笑いを浮かべ、周りの男たちに
    目配せしたかと思うと・・・
    次の瞬間。

    「・・・っ!」


    俺は両側から2人の男に腕を捕えられ、膝をつかされた。
    そして・・・
    正面から近付いて来た、首領の男に
    いきなり胸元に、腕を差し込まれた。

    「・・・無駄だ・・・!
     俺は、金目のものなど、持っていない」


    ただ、そう言い放った。
    目線は男を見据えたまま。
    ・・・恐怖が体中を支配する中、せめてもの、
    抵抗をしたかったのかも知れない。

    が、一瞬きょとんとしたように首領の男は俺を見つめ・・・
    腕を突っ込んだまま大きな声で笑った。

    「ひゃーっはっはっは・・・こいつぁおもしれえ!
     こいつ、これから自分が何をされるのか
     わかってねえぜ?」

    「・・・オイ、小僧・・・
     よーく周りを、見てみな・・・?」


    捕われた女たちのすすり泣くような・・・
    何かに耐えているかのようなうめき声。
    そして・・・
    彼女らを押さえつけ、無理矢理衣服を剥ぎ取り
    のしかかっている下卑た男たち。

    「・・・!?」


    混乱し始めた俺を嘲笑うかのように
    首領の男の指先が服の中で蠢く。

    わかっているのは気持ち悪さと・・・
    この上もない、不愉快さ。

    「何の・・・つもりだっ!」

    その時だった。
    激しい足音と共に、2階から叫び声が聞こえた。





    (第2話・了/3話へ続く)




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