DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
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    2期688年1月・後編
    2007-09-20 Thu 02:14
    ゆっくりと・・・
    体が自分の意志で動かせる事を確認するかのように、
    俺は半身を起こした。

    (往生際の悪い・・・!
     まだそんな汚らしい考え方のまま、生きて行くつもりなの?)

    「・・・ああ、そうだな・・・
     俺はどうやら、生き意地が悪いらしい」

    (・・・!!)

    息を整え、自らの意志を確認するように・・・
    俺は「俺の中に潜むもの」に語りかけた。




    「ようやくわかった。
     ・・・俺の中にいた、「モノ」・・・

     お前は、「風火」じゃない」

    (・・・!?)

    瞳を伏せ、露になった胸元に手をそっと触れる。
    ・・・とくん、とくん、と・・・
    心臓が規則正しく、命を刻む音が伝わって来る。

    「・・・お前は・・・

     



       俺、自身。


     

     全ての事を悔やみ・・・
     全ての事を否定し・・・
     

     何もかも一切を壊す勇気も無く、
     己の体を滅ぼす事で、自分を必死で肯定しようとしていた・・・


     
     そんな、愚かな・・・自分。」


    ・・・そこまで言い終わると・・・
    俺は今まで自分の中に感じていた、「存在」が・・・
    段々と小さくなっている事に気が付いた。

    そうだ。
    俺の中にいた「風火」・・・それは、幻想に過ぎなかったのだ。
    弱い自分の心が作り出した、暗闇・・・。

    風火を殺したあの時に、自分がその罪の重さに壊れることを恐れ・・・
    何年もかかって積み上げて来た、己の「罪悪感」。
    そして・・・

    その、耐えられず吹き出された・・・自らの暗い心が・・・


    「風火」を名乗っていたのだ。


    「・・・今度こそ、言える」

    ・・・頭の中を埋め尽くしていた、黒い霧のようなものが晴れ・・・
    鮮明になった「自らの意志」を言葉に変えていく。

    「俺は、風火を・・・妹を、
     「妖魔」の生から解放出来た事を、後悔しない。

     何故ならあいつは、それを望んでいたから。

     他の、誰でもない。
     あいつは、俺に・・・最期を看取って欲しかったんだ。

     だから・・・

     それに応える事が出来た自分を、良かったと・・・」

    一瞬。
    俺の脳裏に、優しげに微笑む昔のままの、妹の姿が浮かんだ。

    「良かったと・・・心の底から、思えるんだ」




    ・・・気が付くと、嘘のように、体の重みは消え失せていた。
    首筋に残った赤い指の跡がその「存在があったこと」を
    確かに指し示していたが・・・

    俺は、全てが終わったと感じていた。


    「風火・・・すまない」

    ・・・本当の「俺」に戻り、初めて漏らした言葉。

    「お前は何も悪くないんだ・・・

     だが、風火を名乗った俺が・・・すっかりお前に迷惑を
     かけてしまったようだ」

    何処へともなく、声をかける。

    「・・・ふふ・・・

     そういえば・・・お前が俺の事を、「お兄様」だなんて
     呼んだ事はなかったんだよな」

    穏やかに微笑みを浮かべると、
    ゆっくりとベッドから立ち上がり、
    自ら剥ぎ取ってしまった服を、再び羽織る。

    (もう・・・俺は後悔しない。
     俺は、俺の心のままに・・・これからは・・・!)


    外にはいつの間にか、満月が浮かんでいた。
    その淡い光が何かを指し示してくれているような気がした。



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