DK3という定期更新型ゲーム内の舞台「イブラシル大陸」で旅をしていた「沢神」を名乗る退魔師の一族が、旅で感じた事などを書き留めてあります。
    スポンサーサイト
    -------- -- --:--
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    別窓 | スポンサー広告
    2期688年1月・前編
    2007-09-20 Thu 01:09
    己の命とも言うべき大切な槍を、「例の」新聞記者に勝手に持ち出され・・・
    しかも仲間たちに勝手に

    「沢神士皇は、しばらく休暇します」

    と言われ・・・
    どうにも身動き出来なくなった俺は、そのまま宿に待機していた。


    いや・・・
    そのまま宿にいるしかなかったのだ。



    (あの男は・・・俺がこうなる事を、察していたのか?)

    まるで水を吸い込んだ真綿のように、重苦しい体。
    ベッドに横になっているにも関わらず、指の先を動かす力すら出てこない。

    (まさ、か・・・)


    そのうち体の感覚は沈み込んでいく。
    意識は遠去かる。
    深い、深い、地底に落ちるように。
    暗い、暗い、海の底に沈むように。


    ・・・フッと、次の瞬間。

    軽やかに指先がしなり・・・額の乱れた髪の毛をかき上げる。
    そして上体を起こした。

    「・・・」

    まるで忌々しいものを見るような目で、胸元を見つめ・・・
    汗ばんだ服を剥がす。
    そして・・・露になった体を、確認するかのように指先で触れていく。

    「・・・そろそろ、潮時かしら」

    胸元からなぞるように首筋に、ゆっくりと指先が這い上がって来た。

    (・・・っ)

    まるで、自分の指とは思えない、ゾッとするような感覚。
    その指には、己の意志は反映されていない。

    「デスフラッターを抜けて・・・どうしようというの」

    冷たく、己の口から吐き出される言葉。

    「アタシを殺し・・・関係のない人間を斬り・・・
     それでも己は綺麗なままでいたい、と・・・
     
     そんな勝手な・・・汚らしいエゴにまみれた人間が、こんな風に
     

     ・・・生きていて、いいの・・・?」

    (・・・!)

    首筋に指が絡み合う。
    最初は緩く・・・そして次第にその絡み合った指先は、
    確実に締め付ける力を強めていく。

    「・・・っ・・・!!・・・・・・っは・・・」

    半開きになった唇から、苦しげな息が漏れる。
    締め付けながら、それでも「風火」は続ける。

    「悩んで・・・悩んで、導き出した結果が・・・
     ・・・・・・・・これ?

     許さない・・・!

     ゆ、る・・・さな、い・・・っ!!


     そんな、人間なんか・・・っ



     しん・・・で、しま・・・え・・・ば・・・・・・いいっ」


    息苦しさに耐えられず、起こした上半身を再びベッドに倒す。
    首に食い込んだ己の指を制御する事が出来ないまま、
    俺はただ、その苦しみに身を委ねていた。

    (・・・そうか・・・俺は・・・
     あの時、一緒に・・・


     風火を殺した、あの時に・・・)

    段々と息が荒くなる。
    体が必死で、呼吸する事を命令している。
    だが、俺の意識は上手くその命令を果たす事が出来ない。

    「はっ・・・ぁ・・・」

    「・・・っね・・・もう、おまえなん、か・・・!!」



    首に絡み付いている指先に、ぐぐっと圧力が増そうとしたその瞬間だった。



    (ダメ!!)



    もはや完全に闇の中へ堕ちて行く寸前だった、「俺の意識」の中に
    ・・・その声は響いた。

    たった一声だというのに、まるで全ての暗黒を打ち祓う光のように。

    「・・・は・・・!!」

    体の中に、一気に大量の空気が流れ込んで行く。
    俺は、自らの意志で、首筋に食い込んでいた己の指を剥がした。

    「・・・はぁ、はぁっ・・・」

    息を整える。
    そして、ゆっくりと・・・覚醒し始めた己の「意識」を
    先ほどまで俺の体を支配していた、「もうひとつの意識」へと向ける。

    「・・・俺の中の、「風火」・・・

     聞こえるか?」

    (・・・貴様・・・!)

    瞳を閉じると、さらに意識を集中させた。
    そう・・・
    俺は、気が付いたのだ。

    「どうして、こんな長い間・・・気付かなかったんだろう。
     どうして・・・
     
     わからなかったんだろう」


    (後編に続く)
    スポンサーサイト
    別窓 | 日常(士皇)
    | 思いと言葉 |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。